Black Waves、積層された空間 / Black Waves in Layered Ultrasubjective Space

teamLab, 2023, Digital Installation, Continuous Loop, Sound: Hideaki Takahashi

Black Waves、積層された空間 / Black Waves in Layered Ultrasubjective Space

teamLab, 2023, Digital Installation, Continuous Loop, Sound: Hideaki Takahashi

海は全ての海と繋がっていて、この世界の全ての波は繋がりあっている。

古典的な東アジアの美術の波は、よく線の集合で表現される。線の集合でできた波は、それらが流れの中の一部であることを気が付かせてくれる。そして、その線の集合には、波が生き物であるかのように、どこか生命を感じる。

実際、波が立ち上がる時、生命が花開くような強い生命の息吹を感じ、波の一つ一つが生命であるかのようにすら見える。しかし、波が崩れ落ちて消えた時、花が散るかのような儚さとともに、それが海の一部だったことに気が付く。そしてその海は全ての海と繋がっていて、つまりは、世界中の全ての波は、繋がりあっているのだ。
波が生命に見えるのは、生命とは、力強く立ち上がった波のようなものだからだ。生命は、全て連続的につながりあった一つの大海から、一度もとぎれることなく連続的に立ち上がり続ける、奇跡的な現象なのだ。

空間に配置した多数のスクリーンと相対的に同じ位置関係で、作品世界の海に多数の視点を置き、視点ごとにチームラボが考える「超主観空間」によって切り取り、それぞれのスクリーンに映している。「超主観空間」は視点周辺の空間を切り取るため、展示空間に作品世界の空間が重ね合う。

来場者が、波に埋もれていく他の人を見た時、その人は、作品世界でも、相対的に同じ位置で波に埋もれていることになる。つまり、見ている人にとっては、作品世界にその人が存在していることと同等になる。来場者は、他者にスクリーン越しに見られた時、展示空間だけでなく、作品世界においても、作品の一部となる。