環境現象 / Environmental Phenomena
作品は、それ単体では存在できず、環境が現象を生み、その現象が作品の存在を創る。
石ころや、人間がこれまで作り出してきたものは物体であった。物体はそれ自体で安定的な構造を持ち、外界から切り離され、密封された箱に入れても、なお存在し続ける。
一方、海に生まれる渦は、閉じた箱に移した瞬間に消滅してしまう。渦は、それ自体で自らの構造を持っているのではなく、環境が生む流れの中にある存在であり、渦は外部から内部へ、そして内部から外部へと絶え間なく流れる水によってつくられ、流れとともに変化する。そして、その存在の輪郭は曖昧で、渦も渦の外側も水でできており、その物質的な違いは一切ない。
物体ではなく、特別な環境を創り出し、その環境が生んだ現象によって作品の存在を創る。これを”環境現象”と呼ぼう。作品は、環境とは切り離せず、環境変化とともに変化する。
作品は、これまで存在を担ってきた物質的な物体から解放される。空気や水、光といった日常的にありふれたものも、特異な環境によって現象となり、新たな存在へと変貌を遂げるだろう。
これまで人間がつくってきたものの常識を超越し、作品は、人が身体ごと作品の中へ入り込んでも存在は維持され、壊れても修復される。作品の存在の境界は曖昧で、存在の外部と連続的である。しかし、環境が失われれば、作品は消えてなくなってしまう。人々の意識は、存在そのものから、環境に広がっていくだろう。
物体は、外界から分断された箱に入れても存在し続けるが、生命は、そのような閉じた箱の中では存在を維持できない。生命もまた、環境によって維持されている存在である。
生命は、開いた世界の中で、連続する流れの中の奇跡的な現象かもしれないのだ。
FEATURED WORKS
生命は結晶化したうごめく光 / Living Crystallized Light
teamLab, 2022-, Interactive Installation, Sound: teamLab
質量も形もない彫刻 / Massless Amorphous Sculpture
teamLab, 2020-, Installation, Sound: Hideaki Takahashi
質量のない太陽と闇の太陽 / Massless Suns and Dark Suns
teamLab, 2022-, Interactive Installation, Endless, Sound: Hideaki Takahashi
空中浮揚 - 平面化する赤と青、曖昧な紫 / Levitation - Flattening Red and Blue & Blurred Violet
teamLab, 2021, Digital Installation, Sound: Hideaki Takahashi